メタンハイドレードとは?
メタンハイドレートは、メタンガスが固体の状態で海底に埋蔵されており、新たなエネルギー源として注目を集めているものです。
メタンハイドレートは、低温かつ高圧の環境でメタン分子の周囲を水分子が囲んだ状態になった、網状の結晶構造をもつ包接水和物の固体です。比重は0.9 g/cm3程度で、堆積物に固着して海底に大量に埋蔵されています。ここでは、メタンハイドレートの埋蔵場所について紹介します。
メタンハイドレートの作られ方
メタンハイドレートの埋蔵場所を紹介するに当たり、まず、メタンハイドレートがどのように作られるのかということについて以下に紹介します。
メタンハイドレートは、有機物や有孔虫等の生物の遺骸が含まれた海底泥質堆積物であると考えられています。海底の堆積物の中では、硫酸還元菌が活動し、その後、メタン生成菌が活動します。その結果、メタンと炭酸水素イオンが生成されます。そして、地層深部の圧密作用を受け、メタンや炭酸水素イオンが水分子のかご構造にメタンが入ることで、メタンハイドレートが生成されます。
メタンハイドレートの埋蔵場所
メタンハイドレートは、周辺環境が低温かつ高圧である所に多く埋蔵されています。そのような場所は、地球上では、シベリアなどの永久凍土の地下数100-1000 mの堆積物中や海底となります。現在までの調査の結果、ほとんどが海底にあり、地上の永久凍土等にはあまりないことが分かっています。
そして、日本近海は世界有数のメタンハイドレート埋蔵量を持つことがわかってきました。西日本地方の南側の南海トラフに最大の推定埋蔵域を持ち、北海道周辺と新潟県沖、南西諸島沖にも存在します。また、日本海側には海底表面に純度が高く塊の状態で存在しているようです。
採掘方法
低温で高圧の場所にあるメタンハイドレートをどのように採掘するのか、いろいろな採掘方法が考案されており、その一部を次に紹介します。
1)海底炭鉱手法
従来の海底炭鉱と同じ方式で採掘するもので、陸地で縦穴を掘り、そこから横に海底を掘り進め、採掘するものです。
2)自噴回収手法
海底から自噴するメタンハイドレートを海中にパイプを降ろしてメタンガスごと回収するものです。加熱したり、海底から引き上げる必要がないため、採掘に要する費用が他の手法よりも安価となります。また、自然に湧き出しているメタンハイドレートを回収するだけなので、周辺環境への影響も少なくなります。
3)土木的手法
メタンハイドレートを土木的に陸上まで運び揚げ、陸上でメタンを取り出す方法です。この方法は、海底から固体のメタンハイドレートを引き上げ、引き上げた後に改めてメタンを取り出すため膨大なエネルギーを必要とします。
4)加熱法
温水注入や発電などで海底の温度を上げることでメタンハイドレートからメタンを取り出す方法です。海底の温度を引き上げるには膨大なエネルギーを必要と考えられています。
5)減圧法
海底の圧力を下げメタンハイドレートからメタンを取り出す方法です。海底の圧力を広範囲に下げるにはかなりのエネルギーが必要となります。
6)化学的手法
分解促進剤や分子置換材の注入により化学反応でメタンハイドレートからメタンを取り出す方法です。これは、注入した物質や、化学反応後の残留生成物による周辺海水汚染の可能性があります。
メタンハイドレートは、石油や石炭に比べて、燃焼時のCO2の排出量が半分程度なので、地球温暖化対策として期待されています。そのため、メタンハイドレートを採掘し取得するための採掘権の取得が各事業者の間で課題となっています。