計画段階での環境大臣意見
今回の事業は、青森県上北郡東北町字淋代に、最大で総出力28,000キロワットの風力発電所を設置するもの。
環境影響評価法および電気事業法では、出力10,000キロワット以上の風力発電所の設置または変更の工事を対象にしているため、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書について照会があった場合に、経済産業大臣に意見を述べることとなっている。
今回の事業においても、事業実施想定区域の周辺には多数の住居が存在し、周囲には重要な自然環境や生態系が存在するため、6月29日に経済産業大臣から環境大臣へ意見照会が行われたことに対して、環境大臣意見が提出された。
意見の概要
まず総論としては、事業実施想定区域周辺への環境影響の重大性の程度を整理して反映させること、また、周辺の既設風力発電設備も含めた累積的な環境影響についても予測および評価を行ったうえで同事業を行うことが求められている。
また、同事業は、NEDOの「環境アセスメント調査早期実施実証事業」に該当することから、調査の結果や専門家等からの助言を配慮書以降の検討に反映させること、環境影響の回避や低減を優先的に検討することも必要だ。
様々な影響を低減
具体的には、風力発電設備の設置に関しては、周辺地域の住宅から風力発電設備を離して設置する等で、騒音影響を低減させること、風車の影について考慮することが求められている。
水環境に関しては、周辺に浄水場、浅井戸があることからら、土砂や濁水の流出を最小限に抑えることが必要とされている。
周辺地域の自然に関しては、鳥類ではオオタカ、ハイタカ、ハチクマ等の希少な猛禽類、ガン、カモおよびハクチョウ類、河川源流部の水生生物、ヤナギ低木等の自然林、ヨシクラス等の湿原・沼沢植生、甲地アカマツ林等の特定植物群落が存在することから、これらの重要な生物・自然環境への影響を回避・低減することが必須とされている。

環境省
http://www.env.go.jp/press/101335.html