水平軸風車はどういったもの?
深刻な地球温暖化が世界規模で進む中、二酸化炭素を排出しない環境にやさしい発電方法として風力発電はずっと注目され続けてきました。風力発電には風車が必要だということは自明の理ですが、我々はその風車のことをどこまで知っているのでしょうか。この記事では風車の仕組みや特徴について、とりわけここでは現在の主流である水平軸型風車に特化して書いていきたいと思います。
そもそも水平軸型風車とは何でしょうか。
簡単に言うと、一般的に見られるプロペラ型の風車や、ヨーロッパの風景で見かけるような風車(オランダ式と呼ばれる)が水平軸型風車になります。それを説明するためにまず風力発電のメカニズムから見ていきましょう。風力発電は、風の力で風車を回し、その回した運動を発電機に伝えて電気を起こしていきます。
風力を理解するうえで大切な前提に3乗則という法則があります。それは、風力は風を受ける面積と空気の密度と風速の3乗に比例するということです。例えば風速が2倍になると、2×2×2=8倍の風力になります。
風は高いところほど強くなるので、巨大な風車を作り上げる必要があります。そしてその風車には回転軸が水平に置かれているか、垂直に置かれているか、でそれぞれ水平軸型風車と垂直軸型風車と大きく2種類に分けることができます。ちなみに両風車タイプとも風力のうち、揚力を利用するタイプと抗力を利用するタイプがあります。
水平軸型風車のメリットは3つ挙げられます。1つ目に構造が簡単なこと、2つ目に効率が高く大型化が容易なこと、そして3つ目に発電に適しているということです。
これに対し、垂直軸型風車はどの方向から吹く風にも対応できるというメリットがあるのですが、発電するには水平軸型よりも効率が悪く、設置面積が大きいという点があげられます。そのため、発電を目的とする場合は構造が簡単で、効率がよく、高いところからの風を受けることが可能なプロペラ式の水平軸型風車が主流となっています。
近年の技術開発により、風車の性能・効率は著しく上昇していますが、それでもなお翼周りの流れなど不明な部分が多いと言われています。この風の流れを調査するために風洞実験やフィールド実験が欠かせません。風洞実験とは、送風機等を用いて人工的に自然風を模擬した風を発生させる実験です。
建築物と周囲の市街地や地形を再現した模型を配置し、風によって起こる現象を、模型内部や模型取付器具に組み込まれた各種センサーで捉えます。計測されたデータは、解析、評価され、各対応策へとフィードバックされていきます。それに対してフィールド実験とは実際の現場で行う実験のことです。
風力発電の可能性
様々な企業や大学が風車の性能向上にむけ風洞実験およびフィールド実験に関する論文を発表しています。それによると、風は自然現象なので風洞実験で完全に再現することは不可能であります。しかしながら、翼断面上の形状の開発など特定の分野では欠かすことができません。さらに、独特の地形や条件を理解するためにもある程度の情報を収集するといった面でも風洞実験は重要であると述べられています。
まだまだ風力発電は発展途上の分野でありながら、クリーンな発電方法として一躍を担っています。さらなる技術の向上や政府の方針次第では風車をもっと身近に感じる時がいずれ来ることでしょう。