地球が発する熱を利用する「地熱発電」
現在、自然エネルギーに注目が集まっている。自然エネルギーといええば、太陽光発電、風力発電、地熱発電などがある。地熱発電とは、一言で説明すると「地球が発する熱を利用する」発電方法である。ここでは地熱発電の仕組みについて詳しく説明していく。
地熱資源量は多いが地熱発電設備容量が少ない日本
地熱発電の原理は、上記の資源エネルギー庁の図で簡単に説明されている。地熱発電とは、地中から噴出する天然の蒸気をエネルギー源として発電する方法である。
また、地熱発電については、資源エネルギー庁の地熱発電 キッズコーナーにてわかりやすく説明されており、こどもでも理解することが可能となっている。
※資源エネルギー庁のキッズコーナーは以下のURLを参照のこと
http://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel地熱が利用できる地域は火山の多い地域に限られるが、日本は火山国であることから地熱資源量は多い。資源エネルギー庁によると、日本の地熱資源量は約2300万kWと世界3位であるものの、地熱発電の設備容量は約53万kWと世界8位となっている。
しかしながら、日本においては地熱発電の設備容量は少ないものの、技術は世界トップレベルとなっており、東芝は、2011年9月末時点で地熱発電の累計出力2500MWの地熱発電機器を納入している。これは、シェア世界一であり、世界の地熱発電量の23%に相当する。
地熱発電所の開発規制や温泉業者の反対がネックに
日本において、地熱発電の資源量と比較して設備容量が少ない理由としては、国が地熱発電の予算を削減したこと、自然公園内では開発が規制されていること、温泉資源の減少を懸念し、温泉業者から反対の声が上がっていることがあげられる。
国が地熱発電の予算を削減した背景としては、1997年の新エネ法で従来型のフラッシュ方式地熱発電が、新エネルギー促進対象から外されたことにある。従来の方法では地下水が減少し、枯渇化するケースが見られたほか、地下水に含まれる鉱物が井戸や発電所の配管などに付着する事例が見られたためである。
資源エネルギー庁が発表した「エネルギー白書2014」では、地熱発電所の設備容量と発電量の移り変わりについて発表している、それによると、地熱発電の設備容量は1995年頃から横ばいとなっているものの、地熱発電の発電総量は2000年以降、減少の一途をたどっている。
地熱発電の特徴としては、変換効率が15~20%程度となることである。つまり、蒸気のエネルギー密度が低く、熱変換される量は蒸気の全体量からすると少ないため、多くが廃熱となってしまうことがネックとなっていた。
「地熱バイナリー発電方式」でより効率的な発電が可能に
この問題を解決するために、「地熱バイナリー発電方式」が採用された。バイナリー発電とは、沸点の低い媒体を活用することで、これまで利用できなかった低温の蒸気や熱水を発電に利用する方法である。
これによって、蒸気や熱水を効率的に利用することが可能となる。なお、バイナリー発電は、大分県九重町にある九州電力八丁原発電所にて行われている。
原発の再稼働の遅れや、地球環境維持のため、石油発電などに依存しないことを考慮すると、自然エネルギーの開発は急務となっている。しかし、地熱発電所の建設には多額の費用と長い年月を要することから、政府の援助等を活用することで、普及させていく必要があるといえるだろう。