風力発電のメリット
風力発電は、風の運動エネルギーを羽(ブレード)によって回転する力に変換し、これを発電機に伝えて発電する仕組みになっています。つまり発電の原料となるのは風であり、これは地球上の空気のある所であれば、どこでも存在する無尽蔵で再生可能なエネルギーです。
この風力発電は、火力発電や原子力発電のように燃料を燃焼させる必要がありません。このため大気を汚染させる窒素酸化物や硫黄酸化物のような燃焼ガスの排出が無く、また地球温暖化の原因といわれている二酸化炭素の発生も、運転稼働中は全く無いクリーンなエネルギーです。
(但し発電機の製作や発電所の建設、送電設備の建設等には二酸化炭素の排出が発生します。)
発電所の建設は、同じ再生エネルギーである水力発電におけるダムのように、原料を備蓄する必要がないため建築規模は小さくなります。また発電装置を分散して設置でき、現場での工事は組み立てが主流となるため、他の方式の発電所と比較して工期はかなり短くてすみます。
装置の保守や修理は、容易なため設備の停止期間が短く、個々の発電機の時期をずらして停止できるため、全停止の危険性はありません。
風力発電機は回転装置と発電機、変電装置から成っていますが、それぞれ相当数の部品で組み立てられております。今は海外から輸入された部品が多く使用されていますが、今後物作りを得意とする日本でも、これらを製作する工場にはかなりの雇用が見込まれます。
風力発電のデメリット
しかしこういったメリットに反して、何点かのデメリットも報告されています。
一般的に風力発電機の羽(ブレード)の長さは、数10mから100m近くあります。この大きな羽が回転するとき風切り音が発生します。その中で低周波数の音は、波長が長いため遮蔽板を回り込み、近隣住民に対して騒音障害となります。
また設置場所が、渡り鳥の通り道のような所だった場合、高速で回転しているブレードは鳥にとって見えづらく、鳥がブレードに衝突してしまう危険性があります。(バード・ストライクと呼ばれています)このため設置場所には、野鳥保護の観点からも一年間を通して鳥が通過しないような場所を選ぶ必要があります。
風は自然のエネルギーであり随時変化しています。このため発電電力を一定して供給することは出来ません。風が無い時には、代替となる電気エネルギーが必要となります。また逆に台風などの強すぎる風を受けてブレードやタワーが破損しないような注意も必要です。
まとめ
しかしながら、世界的に観ても化石燃料の枯渇が叫ばれてきた昨今、自然エネルギーを利用したこの風力発電は、急速に拡大してきています。