自然災害で被災しても必要最低限の生活レベルを確保
学校法人 芝浦工業大学は11月29日、電気工学科の高見弘教授が、スターリングエンジン※1 とソーラーパネルを組み合わせ、災害時などに電気とお湯を供給できる軽自動車型ハイブリッド電源車を開発したと発表した。
※1 スターリングエンジン
シリンダー内のガスまたは空気を外部から加熱・冷却し、その体積変化でピストンを動かすことにより熱エネルギーを運動エネルギーに変換する外熱機関。既存のエンジンより高効率で、廃材などの利用も期待できる。
自然災害で被災しても「電気とお湯があれば、必要最低限の生活レベルを確保できる」という考えから、スターリングエンジンで安定的に発電するために必要なコンバータを今回開発したもの。
3kgの木質バイオマスペレットを1時間燃焼し1kWの電力と摂氏45度・200Lの温水を提供できるスターリングエンジンと、日中は1時間で最大600Wが発電できるソーラーパネルにより、発電とともに48V、110Ahの蓄電池に充電することも可能なシステムを、軽トラックの荷台に収まるサイズで構築したという。
軽自動車の荷台にすべて収まるシステムとして完成
このため、支援が必要なエリアへすぐに駆けつけられるとともに、夜間や天候不良時のほか、急な大電力消費にも備えられる特徴がある。
これまで、コンバータが出す高調波によりエンジンが不安定になる問題があったが、同教授は今回、この問題を解決するコンバータを開発するとともに、軽自動車の荷台にすべて収まるシステムを完成させ、システムの一部を「フリーピストンスターリングエンジン発電装置」として現在特許申請中とのこと。
なお今後は、操作を自動化したうえで雨天時にも安定稼働できるよう耐久性を高め、将来的には専用の燃料でなく災害で発生したガレキなどの廃材を燃料としてその場で調達し、発電できる電源車の完成を目指すという。
(画像はプレスリリースより)

芝浦工業大学 プレスリリース
http://www.shibaura-it.ac.jp/news/2016/