2010年から毎年発行
認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所(以下、ISEP)は、日本国内の自然エネルギーに関する情報を編纂した「自然エネルギー白書2016サマリー版」をホームページ上で公開した。ホームページから、PDFファイルをダウンロードすることも可能。
この白書は、太陽光・風力・地熱・小水力・バイオマス・太陽熱など、国レベルの自然エネルギー政策の具体的課題から、地域での事業化や普及に向けた取り組み、各種のトレンド・データ、自然エネルギー100%を目指す取り組みなど、国内の自然エネルギーについて、世界の最新状況と対比しながら網羅的に情報をまとめたもの。
ISEP では、2010年から「自然エネルギー白書」を年次で発行しており、2011年からの白書も、ホームページからダウンロードが可能だ。
各種自然エネルギーの現状について世界と比較
具体的な内容としては、日本と世界の自然エネルギーを比較する中で、まず、太陽光発電について、2015年度の年間導入量が900万キロワット以上であり、世界第2位であることが述べられている。また、風力発電では、年間導入量は約25万キロワットに留まっているが、環境アセスメントの手続き中の案件は、760万キロワット以上と、今後の伸びが期待される状況だ。
次に、太陽熱発電については、日本では、まだ太陽熱利用機器の新規導入が増えない状況であり、累積の導入量は減少傾向で、世界第10位に留まっている。
バイオマス発電については、日本では、これまで廃棄物発電が主であったが、FIT制度により未利用材や一般木材など木質バイオマスの発電設備が増えつつある状況となっている。世界的に見ても、バイオマス発電の発電量は増加しており、燃料の持続可能性が課題といえる。
地熱発電については、日本は地熱資源に恵まれているものの、新規導入は2000年以降停滞していたが、FIT制度により、資源調査や事業化の検討が増えており、2015年度は約5,000キロワットが新規に導入されている。
水力発電では、FIT制度の対象となる中小規模の水力発電について導入が徐々に進み、2015年度の新規導入量は、出力1,000キロワット未満が92基で1.2万キロワット、1,000キロワット以上が15基で5.9万キロワットとなっている。
政策やその他の課題など
こうした現状説明の次に、「国内の自然エネルギー政策の現状と課題」、「自然エネルギー優先への電力システムの課題」、「電力小売全面自由化と自然エネルギー」について、詳細に解説がなされている。
さらに、トピックスとして、「ご当地エネルギー」や「100%自然エネルギー」をテーマに、各地で続々と立ち上がるご当地エネルギーの動向や、地域と調和した自然エネルギーの導入に向けた社会的合意形成の取り組みなどが紹介されている。

認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所
http://www.isep.or.jp/jsr2016