インド共和国におけるスマートグリッド関連技術に係る実証事業
2016年11月4日、NEDOは、インド・ハリヤナ州の訓練センターに模擬系統設備等を導入し実証を開始したことを発表した。
インドでは、経済成長に伴い電力需要が増大する中、インフラ整備の遅れから慢性的な電力不足等が問題となっており、配電会社へのスマートグリッド関連技術の導入による配電設備・システムの拡充が喫緊の課題となっている。
このような背景から、NEDOは、「インド共和国におけるスマートグリッド関連技術に係る実証事業」の実施について合意し、2015年12月2日に基本協定書(MOU)を締結していた。スマートグリッド関連技術の実証を富士電機株式会社、住友電気工業株式会社が担当し、キャパシティ・ビルディング事業をTHEパワーグリッドソリューション株式会社が担当している。
今回実証を開始した訓練センターは、ハリヤナ州の電力会社が設立した送配電設備整備技術などの訓練を行う施設で、座学・実技訓練を行う訓練棟、屋外の模擬配電設備、宿舎などの設備を持っている。
同センターの模擬系統設備の運転開始式は、11月3日に同センターにおいて行われ、NEDOスマートコミュニティ部長、富士電機インド法人社長、住友電気工業インド法人社長、THEパワーグリッドソリューション社長、ハリヤナ州電力局首席次官、北ハリヤナ配電公社会長兼社長をはじめとした関係者が出席した。
実証事業の内容
インドの配電網のスマート化に貢献するとともに、日本の優れたスマートグリッド関連技術の有効性を示し、日本技術の海外普及および日本企業によるインド国内での事業展開の足掛かりとするため、次の二つの事業を併せて行う。
一つは、スマートグリッド関連技術の実証事業である。パニパット市内の一部の顧客にスマートメータを設置し、SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)と呼ばれる監視制御システムで、スマートメータのデータ収集や監視・制御を行うことで、「ピークロード低減技術」、「配電系統監視・制御技術」および「盗電・電力メータ改ざん・料金徴収漏れ等の配電ロス低減技術」の実証を行う。
スマートメータ等については、インドで現地生産を行い、インドの配電会社が2017年2月から実系統での実証開始を目指し、実証設備の設置工事を担当している。
もう一つは、キャパシティ・ビルディング事業である。インドの配電会社が、課題である配電ロスの低減、柱上変圧器故障率の削減、停電頻度の改善等の解決に向けて、日本のスマートグリッド関連技術を効果的に活用できるように、当該技術の活用方法を含めた配電システムの運用ノウハウ等を提供する。
(画像はプレスリリースより)

NEDO ニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100666.html