ウィンドファーム建設に向けた予備調査
九州大学は、応用力学研究所の内田孝紀准教授が、数値風況予測モデル「RIAM-COMPACT(リアムコンパクト)」を用いて、北九州市響灘地区に大規模・洋上風力発電施設が導入された場合を想定した予備調査を実施したことを発表した。
調査した項目は3つで、まず、洋上に点在する島々、あるいは市街地が作り出す乱流(風の時間的・空間的は変動)の影響、2つ目は、大規模な洋上ウィンドファーム(風車30基程度)が既存の陸上風車群に与える影響、3つ目は、大規模な洋上ウィンドファーム内における風車群の最適配置や経済性の試算、である。
この結果を踏まえ、内田教授は、今後も、特に局所的な風況面に関する、より精緻な調査・研究を行っていく意向を示している。
さらに、文部科学省の「ポスト『京』で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発」における重点課題として支援を受け、東京大学などと共同で、大規模な陸上・洋上ウィンドファームの最適設計や性能評価、運用・維持管理に革新的なコンピュータシミュレーションの成果を導入する試みを実施している。
風力発電関連産業の総合拠点を目指す
北九州市は、「世界の環境首都」を目指し、環境にやさしいクリーンエネルギーの積極的な導入を進めており、その一環として、港湾インフラに隣接して広大な産業用地を擁する響灘地区に、風力発電産業の集積を実施している。
現在は、響灘風力発電施設として、10基の風車が稼動し発電を行っており、発電規模は、一般家庭約10,000世帯分の年間電力消費量に相当する3,500万キロワットアワーだ。
さらに、響灘地区のポテンシャルを活かし、あらゆる機能が集積した「風力発電関連産業の総合拠点」の形成を目指した取り組みを推進しており、現在、洋上風力発電施設を設置・運営する事業者の公募も行っている。
今回の調査・研究は、この取り組みの成功に向け、大きく貢献すると考えられる。
(画像はプレスリリースより)

九州大学
http://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/49