バイオマス発電 国産材の使用比率向上が必須
NPO農都会議 バイオマス・ワーキンググループ(以下、同組織)は9月8日、8月30日に開催されたバイオマス燃料セミナー、「バイオマス燃料の国内調達の課題 伐採・搬出の現場から考える」(以下、同セミナー)について、同組織のホームページに掲載した。
Bioフォレステーション株式会社の近藤亮介社長は、「バイオマス発電と林業経営 神奈川・千葉の山々で考えたこと」をテーマに講演を行った。
近藤社長は、大規模木質バイオマス発電所の使用燃料は、北米材、PKS(パームヤシ殻)、BDF(バイオディーゼル燃料)など、輸入バイオマスが主流で、国内林材では安定供給が見込めないとの見解を示した。
その上で、バイオマス発電所の発電効率を高めること、また、発電所の操業開始時は輸入材を使用するものの、徐々に国産材の使用比率を高めていくことで、発電事業者、林業ともにメリットがあるとの考えを示した。
日本の地形に合った林業の実現のため「Kシステム」を提案
NPO法人蔵前バイオマスエネルギー技術サポートネットワークの米谷栄二副理事長は、「実用化間近のKシステム」をテーマに講演を行った。
米谷副理事長は、森林とエネルギー利用は、ヨーロッパ型の方式ではなく、急斜面が多い日本の地形に合った方式を導入すべきとの考えを示した。
政府は2025年をめどに国産材供給量4000万m3を目標に掲げているが、政府目標を達成させるために、同法人の開発による山林からの木材収集方法、「Kシステム」の活用を提案した。また、Kシステムをより向上させるため、改善・製品化のための開発支援を要望した。
50年から100年先を見据えた林家の出現を切望
茨城県常陸太田市で林業を営む若手自伐林家の荷見信孝氏は、「美しい森づくりとブランド林業」をテーマに講演を行った。
荷見氏は、10年から20年先、もしくは50年から100年先を見据えた林家の出現を切望した。また、国の方針は、3年から4年程度で指導者や施業方針が変更となることから、長期的視野で運営する林業においては、国の方針は適さないのではないか、との考えを示した。
荷見氏は、各種助成金を活用しつつ、中古機械を購入するなどして、極力自前の施業が必要との考えを示した上で、時給500円程度の労賃ではありながらも、山林経営は楽しいことだと強調した。

NPO農都会議 バイオマスWG
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