オイル抽出残渣で新たな化学変換プロセスを開発
東京工業大学は4月13日、藻類からオイルを抽出した残渣に含まれる糖質成分から、化学品原料(レブリン酸メチルと乳酸メチル)を合成する新たな化学変換プロセスを開発したと発表した。
これは、同大学物質理工学院応用化学系の山口渉助教と科学技術創成研究院化学生命科学研究所の今村壮輔准教授らによるもので、この研究成果は4月12日に、英国科学誌ネイチャーの姉妹誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。
藻類の中には光合成の副産物として細胞内にオイルを蓄積する種類が存在し、単位時間・面積当たりのオイル生産性がトウモロコシの約800倍、パームの約23倍にも達することから、炭水化物の生産性が他のバイオマス資源と比較して極めて高いという。
また、耕地として適さない土地や水域を利用して培養できるため、食糧の生産とも競合しないこともあり、石油資源の代替エネルギー源として「藻類バイオマス」が注目されている。
石油資源を代替する藻類の利用価値が飛躍的に向上
一方、藻類からバイオオイルを抽出した残渣には、デンプンを主とした糖質成分が含まれているが、これまでは有効な技術が確立されていなかった。
今回、2種類の均一系スズ触媒を用いることで、藻類のオイル抽出残渣からレブリン酸メチルと乳酸メチルを合成できることが分かり、新たな化学変換プロセスとして開発したとのこと。
研究者らはこれにより、石油資源の代替になる藻類の利用価値が飛躍的に向上するとしている。
(画像はプレスリリースより)

東京工業大学 プレスリリース
http://www.titech.ac.jp/news/2017/038090.html