800度までの熱処理にも対応
古河電気工業株式会社は、太陽光発電や風力発電に使用するパワーモジュールの基板や、その周辺部材の材料として、世界トップレベルの耐熱性能を持った無酸素銅条「GOFC」の開発に成功したことを発表した。
今回開発された無酸素銅条「GOFC」(Grain Growth Control Oxygen Free Copper)は、無酸素銅条(C1020R)をベースとして、その成分規格を変えずに独自の組織制御技術を応用し、高熱を加えても結晶粒が粗大化しにくいという優れた性能を持ったもの。
従来の一般的な無酸素銅条が500度以上の熱処理で急激に結晶粒が粗大化するところを、800度まで結晶粒が小さいまま抑制することが可能。また、板厚0.3ミリ~1.0ミリの条製品も提供できるよう製品ラインナップの拡充を進めている。
また、既に絶縁基板の接合材の用途向けにサンプル出荷を開始したのとともに、その量産化技術も確立しており、2020年度に毎月50トンを生産することを計画している。
高出力で負荷が増大したパワーモジュール
自動車モーター制御や電力変換等を行うパワーモジュールは、ハイブリッドや電気自動車などの次世代自動車や、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの技術革新に伴って、高出力化、高性能化が進み、熱的・電気的負荷が急速に増大している。
こうした状況の中、パワーモジュール用基板や周辺部材に用いられる無酸素銅条(C1020R)は、これまで、パワーモジュール製造時の熱処理過程にて、結晶粒の粗大化が起こり、次工程のボンディングや他の部品との接合工程で様々な支障が発生するという課題があった。
この課題に対して対応するために、今回、結晶粒が粗大化しない無酸素銅条を開発したものである。
(画像はプレスリリースより)

古河電気工業株式会社
http://www.furukawa.co.jp/release/2017/ele_170403.html