冷却水不要のポータブルな空冷式熱電発電装置の開発
2017年3月23日、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)は、工業炉、焼却炉、エンジンなどの排熱から発電できる空冷式のポータブル熱電発電装置(以下、同発電装置)を開発したと発表した。
同発電装置は、200度~800度の熱源があれば発電装置の集熱部を高温の場所にかざすだけで発電できる。このため、工場や焼却場の排熱から、冷却水を用いず簡単に発電でき、二酸化炭素排出量削減に貢献する。また、複雑な設置工事も必要としないため、災害時の緊急電源としても利用できる。
研究の概要
産総研では、排熱や自然熱などの有効利用を目指し、空気中でも安定で、変換効率の高い酸化物熱電材料を用いた熱電モジュールを開発し、工業炉や焼却炉の排熱で発電できる水冷式熱電発電装置などを開発してきた。
このたび発表した発電装置においては、従来の酸化物熱電モジュールの発電出力を増加させるため、ホットプレス工程での組織制御を精密化する新たな技術を開発した。
また、n型熱電素子に添加物を加えると、加熱・冷却サイクルによるひびの発生が抑制できることを発見し、高温耐久性が改善された。
さらに、作動液体の蒸発潜熱を利用するヒートパイプを用いることにより、空冷でも水冷並みに効率良く冷却して、高出力発電が可能になった。なお、空冷ファンは、この装置が発電する電力で駆動(約0.5W~0.8W)するため、外部の電源や、電池などは不要だ。
(画像はプレスリリースより)

産総研 ニュース
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