バガスを用いバイオエタノール製造技術の有効性を実証
NEDOのプロジェクトで月島機械株式会社とJFEエンジニアリング株式会社の両社は6月1日、タイ王国サラブリ県に建設したバイオエタノール製造プラントで、バガス(サトウキビの搾りかす)を原料にバイオエタノール製造技術の有効性を実証、技術面や採算面で実現可能な商業生産モデルを構築したと発表した。
この製造プラントは、NEDOから委託を受けた両社が2012年度から2016年度を事業期間として、約12億円(うちNEDO負担が約10億円)の予算規模にて、バガス処理能力1300トン/年の施設をサラブリ県に設置、100kl/年のバイオエタノール生産を目指していたもの。
近年の急速な経済発展から同国は、エネルギー消費量が著しく増加傾向にあるものの大半を輸入に依存し、エネルギー供給不足対策が喫緊の課題で、同国政府はエネルギーの安定供給のためバイオエタノールの増産を目指す方針を掲げている。
その一方で同国は、世界トップレベルのサトウキビ生産量を誇るものの、砂糖生産の際にサトウキビを搾った後に生じるバガスが製糖工場で大量に発生し、その60~80%はボイラ燃料に使用していたものの残部は廃棄していた。
技術・採算両面から実現可能な商業生産モデルを構築
バガスのようなセルロース系バイオマスを原料とするバイオエタノールの製造では、原料費と酵素費がコストの大部分を占めることから、これら費用の低減は、普及させる上で不可避の課題だった。
こうした事情から両社は、 NEDOと同国との基本協定に基づき建設したバイオエタノール製造プラントにて、製糖工場から副産物として大量に排出される余剰バガスを原料として、酵素生産微生物によるオンサイト酵素生産技術と同時糖化発酵技術を用い、バイオエタノールを製造する技術の有効性を実証したもの。
また、得られた知見・データから、技術・採算の両面から実現可能な商業生産モデルとして構築したという。
今後は、タイ王国のほか東南アジア地域への普及・拡大を図り、未利用資源を活用したエネルギー生産と温室効果ガス排出削減への貢献を目指すとしている。
(画像はプレスリリースより)

NEDO プレスリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100775.html