土壌センシング、DNAマーカー育種とリモートセンシングの3技術を活用
2017年6月1日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、NEDOのプロジェクト(以下、同プロジェクト)で、林業用土壌センシング技術、DNAマーカー育種技術とリモートセンシング技術を活用し、植林木の単位面積あたりのバイオマス生産量を現行法の1.8倍以上に増やせる精密林業技術を開発したと発表した。
同プロジェクトは、事業名が「バイオ燃料製造の有用要素技術開発事業/ゲノム育種及び高効率林業によるバイオマス増産に関する研究開発」で、事業委託先が日本製紙株式会社(以下、日本製紙)、国立大学法人東京農工大学および国立大学法人千葉大学であり、事業期間は2013年度~2017年度。
同プロジェクトでは、ブラジル北部にある日本製紙保有のユーカリ植林地で品種改良、植栽技術向上等によるバイオマスの収量アップを目的に研究を進めてきた。
研究の概要と成果
植林地ほ場において、栄養成分などの土壌情報を効率的かつ迅速に収集するために、トラクタ搭載型土壌センシング装置(土壌センサー)を開発した。これを用いて、植林木の成長に適した土地を選択し、現行の方法に較べ、バイオマス生産量1.3倍増やすことができる。
また、林木がもつゲノム(DNAの塩基配列の違い)を目印に、成長性や、木質特性などを選抜するDNAマーカー育種技術を開発し、推定バイオマス生産量が現行の1.4倍以上となる優良木の選抜にも成功した。
これらの技術を合わせると、単位面積当たりのバイオマス生産量が、現行の方法に較べ1.8倍以上となり、立木費・伐採費・輸送費・切削費などのユーカリチップ原材料費が44%削減されると見込まれる。
さらに、ドローンと3Dレーザースキャナを使用して、広大な植林地における高精度なリモートセンシング技術を開発し、バイオマス量をより精密で高効率に測定できるようになった。
(画像はプレスリリースより)

NEDO ニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100776.html