リチウムデンドライト発生に起因する、発熱・発火リスクを大幅に低減
2017年5月25日、日立マクセル株式会社は、充放電中の電解液系リチウムイオン電池内部における正極および負極内のリチウム濃度分布を、同時に同一視野内で、リアルタイムに計測(以下、同測定)することに、世界で初めて成功したと発表した。
同測定は、これまで不可能と考えられていたが、電池断面のリアルタイム観察技術(以下、同技術)で、独自の解析技術を用いることで、正極の「体積変化」という一般的な物理量から計測することが可能となった。
同技術により、寿命特性・出力特性などのリチウムイオン電池の基本性能を改善するとともに、発熱・発火の直接的な原因となるリチウムデンドライトの発生確率を大幅に低減するための指針が得られる。
特に、大電流での使用が想定される車載用リチウムイオン電池開発分野に同技術を適用することで、より安全な長距離走行の実現が期待できる。
電池断面のリアルタイム観察技術の特長
負極のリチウム濃度計測は、従来、共焦点顕微鏡観察による色測定で行えたが、正極には、放射光施設を利用した測定が必要だった。
同技術では、正極のリチウム濃度も、日常的に簡便に計測できるようになった。
また、実際に対向する正負極間の相互作用を把握でき、測定時間が最短で数秒であるため、これまで深さ方向分析では困難だった高い電流値での充放電変化もリアルタイムに測定することができる。
(画像はプレスリリースより)

日立マクセル ニュースリリース
http://www.maxell.co.jp/news/pdf/maxellnews_20170525.pdf