バイオエタノール生成に不可欠
東北大学大学院他の教授らによる研究グループは、バイオエタノールを生成する際に必要なセルロース系バイオマスからグルコースを得るための前処理に、超音波の代わりに流れ場を用いて発生させたキャビテーション「流動キャビテーション」を用いることにより処理効率を20倍以上向上できることを実証した、と発表した。
非可食のバイオマス資源である稲わらや廃木材などのセルロース系バイオマスを燃料や化成品に利用するためには、リグニンに覆われていて強固な結晶構造を持つセルロースを、リグニンと分離させてセルロースの結晶構造を破壊するという「前処理」が不可欠となっている。
これまでは、酸処理やアルカリ処理、水熱処理などの前処理が提案されていたが、多量の投入エネルギーが必要という問題があり、超音波で発生させたキャビテーション(泡に相変化する現象で気泡の圧潰時に衝撃力を発生)を用いた前処理も研究が行われてきた。
しかし、今回の研究で使用された、流れ場と用いて発生させたキャビテーション「流動キャビテーション」の場合には、連続処理ができ、ポンプを大きくするだけで、強力化・大型化が可能というメリットを確認。単位エネルギー当たりの前処理効率は流動キャビテーションの方が、従来の超音波より 20 倍以上良いことが判明した。
環境負荷の低減に貢献
流動キャビテーションは、噴射圧力や流動条件の最適化により、キャビテーションのさらなる強化が可能であり、その特性から耐高温・耐高圧容器を用いることなく化学反応を行える可能性を有している。
したがって、様々な化学反応プロセスに流動キャビテーションを有効利用できる可能性が秘められており、環境負荷を低減したグリーンケミストリーに貢献できることが期待されている。
東北大学の研究グループでは、既に成功している流動キャビテーションやパルスレーザを用いたキャビテーションの強力化も含めた、さらなるキャビテーションの有効利用に関する研究を進めていく予定だ。
(画像はプレスリリースより)

東北大学 プレスリリース
https://www.tohoku.ac.jp