住宅用太陽光パネルに増税案
現在、英国では住宅用太陽光パネル(太陽光発電装置、太陽光給湯装置など)の設置にあたり5%の付加価値税がかかるが、これを来年8月1日以降に20%に引き上げる議案が英国議会で検討されているという。
理由は欧州連合(EU)との太陽光パネルの法的扱いの違い。EUは住宅用太陽光パネル設置は住宅の改造とは見なさないために軽減税率の適用外となる。この点で英国の軽減税率が違法とされたため、議会で協議する事になった。
STA (the Solar Trade Association) によれば、税率が5%から20%に上がった場合、典型的な4kWの太陽光設置にかかる税金は約6,400ポンドから約7,300ポンドに上がるという。
また、5日、EUの執行機関である 欧州委員会(the European Commission)が、中国製太陽電池パネルの輸入制限措置の期間延長を発表。今月失効する予定だった同措置は最低1年間延長される見通しとなった。
2013年の欧州委員会の取り決めにより、EU域内では中国製太陽光発電パネルの最低価格での販売数が限定されているが、今後もこの体制が続く事になった。
支援政策による負担が増加
北海の油田・ガス田の枯渇による生産量の減少、2009年のEU再エネ利用促進指令などの背景から、英国では2010年から小規模電源(50kW~5000kW)を対象とした固定価格買取制度(FIT)を導入、今年4月末からは大規模電源にもFITが適用された。
一方、これら一連のグリーン政策による負担が増えており、支援が見直されている。
2002年に導入された再生可能エネルギー購入義務(RO)制度は2017年3月末に終了予定だが、これを1年繰り上げ、小規模太陽光発電への適用を2016年4月で打ち切るとする政府の発表が今年7月にあった。
8月には、再エネ企業に認められてきた気候変動賦課金(Climate Change Levy)の免除措置が終了する。
1999年の電力全面自由化の後、現在、欧州圏で最も電力価格が高い国のひとつになってしまった英国で、家庭部門の電力価格の15%を占めるグリーン政策による負担は大きい。
一方、米国のシェールオイルとシェールガスによる世界のガス価格の値下げがすすみ、競争が激化している現在、英国のソーラー産業にとっては政府の支援は大きい。
逆風続きの業界では「政府が産業を見捨てた」との声もある。
(画像はイメージです)

Farmers Weekly
http://www.fwi.co.uk/business/uk-solar-industry-takes-further-blow-this-time-from-brussels.htm