データセンターの重要性
アメリカ政府をスポンサーに、ローレンスバークレイ国立研究所が「データセンター消費電力レポート」を2016年6月に発表した。様々なビジネスがIT化によりますます、ビジネスの幅を伸ばしている近年では、グローバルに大規模展開をするためにはデータセンターの活用は不可欠ともいえる。
そもそもデータセンターとは、アプリケーションや大量のデータを保管するサーバやネットワーク機器などを設置し、保守/運用を行っている施設のことをいう。稼働しているシステムの監視システム以外にも、災害時や停電時の備えも万全であり、自社でサーバを運用するよりも安心、低コストで利用できるのがデータセンターである。24時間365日体制でシステムや機器を監視してくれているので絶対に止めることができない金融関連のシステムなどには必要不可欠ともいえる。
データセンターを設置するにあたり、必要なものは基本的に7つ考えられる。1:土地,2:建物,3:施設,4:ハードウェア(サーバ等),5:OS、サーバウェア,6:ミドルウェア,7:アプリケーション、ここで話されるデータセンタ電気使用料は上記3~7に該当する使用電気のことをいう。
アメリカのデータセンターと電気使用量
世界のビジネスの中核を担っているといっても過言ではないアメリカではデータセンターは多数あり、IT企業が多く集まるカリフォルニア州には300近いデータセンターが存在するといわれている。
これほどの数のデータセンターが24時間365日稼働していると電気の使用量は多いのは当たり前であり、1つのデータセンターが使用する電気量は大規模な商用ビルに比べると約100倍も多いといわれている。レポートによると2014年の段階で、700億Kwh、国全体の約2%もの電気がデータセンターだけで使用されていることとなっており、また、2010年から2014年にかけて4%増加傾向になっている。
このままの推移でいくと2020年には約730億Kwhの電気の使用が見込まれているが、2010年の電気使用効率化レベルで2020年まで放置した場合、2,000億Kwh近くと想定より2倍近くの電気量が使用される見込みであったことからデータセンターの使用エネルギーの効率化は進んでいるともいえる。
データセンターにおける電気使用量削減
上記のことからデータセンターの稼働効率性を高め、電気使用量を削減していくことは世界をリードしていくアメリカにとって、環境を配慮したビジネスを拡大するために極めて重要なことである。
データセンターの電気使用量を削減する前に1つ重要なことは各データセンターの規模である。データセンターには「ハイパースケール」といわれるものがある。数年前からデータセンターの成長を牽引しているこの「ハイパースケール データセンター」は膨大なデータとその処理をする為、現在の社会がより発展するために必要とされるクラウドサービスに対応する為のデータセンターと認識されている。このような大規模なデータセンターに他の小規模なデータセンターを集約することで電気使用量の削減に大きな効果があると期待されている。
2020年までに各データセンターにおいて、運用方法の効率化、エネルギー消費が少ないサーバやネットワーク機器への入れ替え、そしてデータセンターの集約という3つのアプローチで想定されている730億Kwhから45%もの削減となる330億Kwhの消費を目指している。
日本におけるデータセンター
アメリカは2020年以降も、具体的な策としてデータセンターに設置されているサーバまたはストレージ1つ1つの電力使用率を分析し、なるべく使用率が低いものに統一していくことを進めている。あるサーバでは40%ものが、となりのサーバでは80%もの電気をしようしているということが現状では起こっているのである。
こうしたデータセンターの電力消費への取り組みは日本にもあり、地震による原子力発電所の停止に伴い、効率的にデータセンターを稼していく動きは勢いを強めている。日本では多くのIT企業がより低コストでかつ柔軟性のあるクラウドサービスを拡大しており「ハイパースケールデータセンター」への注目が高まってきている。

データセンターにおける電力使用量削減
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